■足、どうしてます?■ 国際A急ライダー達の足

2010/09


以下は“RIDING SPORT”誌のNo.028/1985年5月号に掲載された【マモラの外足】という特集記事において、アウト側ステップから足裏を離しているランディ・マモラ選手のライディングについて感想、意見を求められた当時の国際A級現役ライダーたちが答えたインタビュー記事からの抜粋です。
まもら〜
元々が話し言葉を記事に起こしたものであり、やや文脈に分かりにくい部分があったので、そこは( )括弧内に私が補足しました。

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水谷勝:500ccクラス
マシンが最高にバンクしている時、外足はある程度踏ん張っている。割合で言ったら、外足に4内足に6ということろかな、おおよそだけど。
マシンのホールドという意味では、外足は足裏ではなく内モモをかなりしっかりタンクに当てている。コーナーでシリをずらすと、自然と外足の足裏には力が入りにくくなると思う。外足の力は内モモに入る。コーナーには腰から切れ込んでいくものだからね。相当力を入れている時は、(荷重をかける場所が)6割くらい(外足の)内モモになっていることもある。

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糟野雅治:250ccクラス
外足は踏みつけていない。内足にも体重はかかっていないなぁ。
ボクはステップじゃなくてニーグリップ重視。腰が大切だと思う。自分の一番楽な姿勢で乗ると自然にシート、タンクで(身体を)支えている。
ボクもマモラみたいに外足が浮くことがよくあるよ。シリを内側に落とすと、自然と外足が届かなくなるだけ。
14〜15年前にトライアルの万沢さん(※3)に、外足に荷重したほうが(良い)って言われたことあるが、意識して外足荷重にすると乗りにくい。外足のステップに力を入れると腰が浮いてニーグリップしにくい。自分の乗りやすい方法が一番。

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八代俊二:F1クラス(※1)
外足のステップには相当荷重がかかっていると思う。
内モモをタンクにしっかり当てて、ステップには土踏まずで、足裏で斜め後方に足をひねっていてステップをこじる感じ。この時、足首はフレームにかなり強く当たっている。内足はつま先でステップの先に乗せていて、いつでもブラブラさせられるようにしている。こうすることで、クルマの(振られた時の)挙動を逃がしてやっている。
マモラについては彼なりのスタイルだから・・・・・。でもしんどいと思う。向きを変えるのに一連の上手さがあるからああいうスタイルでも乗れるのだろうけど。(コーナリング中は)やっぱ外足荷重とニーグリップじゃないかな。

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大島正:F3クラス(※2)
荷重とか踏ん張っているとか意識したことは無い。
外足は写真なんかで見ると力が入ってるみたい。無意識の内に力が入ってる、というところ。足首はマシンのどこか、フレームかカウルに当たってる。内足は荷重がかかっている感覚がある時もある。車体は(外足の)クルブシではさんでいる。
シリはあまり大きく落とさず、割れ目がシートの角にきて、(そこに)荷重がかかっている。バンク開始は体とハンドルで、ハンドルは一度外に切る。フルバンク時はハンドルを気持ち外腕で押している。特別ステップへの荷重とかは意識したことが無いからこんな感じ。だから他のライダーがステップに荷重しているかどうかは良く分からないな。ホント、自然に乗っている。

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江崎正:F3クラス
外足は土踏まずか、その前の広い部分でステップに乗せている。荷重は外足3で内足7くらいかな。だから、外足は踏ん張っている感じがしない。その代わりモモを締めてタンクを押さえつけ、マシンをホールドしている。(外足の)つま先は少し外側に向くかな?
マシンも変化してきてるから、乗り方も変わって当たり前だと思う。マモラは外足が外れてもタンクでニーグリップしてるから大丈夫だと思う。オートバイに乗るにはニーグリップが一番大切。それに前乗りとか後ろ乗りとかもあるでしょ?
どんな走り方、前でも後ろでも、内足荷重でも外足荷重でも速く走れればイイ。何が何でも教科書的な走り方にこだわる必要なんて、ナイと思う。

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池田直:F1/F3/250ccクラス
外足は荷重していると思う。コーナーで言うと「思う」程度はヘアピンなんかで、「踏んでいる」と意識するのは高速コーナー。
でも極端な話、コーナリング中に両足をステップから離しても大丈夫。この前、マモラみたいに外足を外して走ってみたら走れた。慣れてくるとなんでもない。乗り方っていうのはクルマの特性、ライダーの体型、性格で決まると思う。
オートバイはエンジョイしなくちゃね。基礎は絶対に大切だと思うけど、そこから発展させていくのは自分だから。楽しく自分なりのスタイルでイイと思うよ。スタイルはどうでもイイ。マラソンの宗選手のフォーム、王選手の一本足打法、裸足のゾーラ・バッド。みんなフリーだよ。

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新井亮一:250ccクラス
外足は、踏んではいるけど力は抜けている足首とカカトがクルマに当たり、(外足の)内モモでタンク面をホールドする。また、面で当たるようなタンク形状にする。内足に限らず、どの部分も力を抜くようにしている。
500とかは常にホールドした状態にしなければならないんじゃないかな?250とは慣性重量が違うから。
乗り方っていうのは単に理論じゃない、身体に染み付いたものをステップアップさせていく。
フォームは足の長さや筋力でも違ってくるもので、マモラ(が外足をステップから外すの)は彼なりのトライの結果で、重心位置を内側に持っていくことでクルマを押さえ、滑りにくくし、たぶんハイサイドも起こりにくいんじゃないかな?

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和歌山利弘:250ccクラス
外足は無意識に踏んでいる。強く足裏を踏んでいるのはバンク角が安定した状態で、フルバンクに達するまでは内足を踏んでいる。外足は下半身をホールドしていて、マシンとの接点になっている。フルバンク時に内足は足裏をフレームに向けて軽くマシンをはさんでいる程度で、強くというものでもない。
マモラはイン側に身体をあずけてクルマを旋回させようとしているのがクローズアップされ過ぎているだけで、無理な乗り方ではない。オートバイというのは意識して荷重するのは良くない。クルマなりに自然にがイイ。

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※1:F1=市販1000ccエンジンをチューンし、オリジナルフレームに載せたレーシングバイクで争われるクラス

※2:F3=市販400ccエンジンをチューンし、オリジナルフレームに載せたレーシングバイクで争われるクラス

※3:万沢康夫。現在は万澤安央と改名。

レーシングライダーが全ての物理現象を正しく理解し、尚且つ正しい用語で説明できるとは限らないので、勘違い、思い込みなどの要素もあると思います。
また、当時はまだ【オートバイにかかわる物理現象】が今ほど解析もされず、注目もされていなかったこともあって、それぞれのライダーが言う【荷重】という言葉の解釈も違っていて興味深いですね。

たぶん、今同じことを聞けば同じ答えが返ってくる人も居るだろうし、正反対の答えを返す人や、【荷重】についてまた違った視点で捉える人も居るでしょう。

「こんなこともありました」ということで、ブラウザの【戻る】ボタンで戻ってやってください。
もしくは、コチラから・・・・。

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