■前夜■ 神話の誕生

2009/05


先日、“YouTube”で二輪レースの昔の映像を見ていたら、懐かしい【マモラ乗り】の映像を発見しました。
http://www.youtube.com/watch?v=kAOm304vOXA
 
前半では一応引っ掛かっていますが、後半のはホトンド外れてますね・・・・。そういえば一時期この【外足外し】が雑誌を賑わせたことがあったな〜とちょっとググってみたら、分かりやすい画像が見つかりました。
ランディ・マモラ

ランディ・マモラとロン・ハスラム
いやぁ〜、見事に【マモラ乗り】ってますねw
タンクに上体を伏せ、前輪にも出来る限り仕事をさせようとするR・ハスラムとの対比も鮮やかです。

本人に直接聞いたわけじゃないから想像ではありますが、彼の足がステップから離れるその原因は、単純にNSのシートは幅広で、大きく腰を落とすと「リーチ」が足りなかったせい・・・・・。要するに、マモラはアメリカ人にしては少々足が短かったとw
また、なんであそこまで大きく身体をイン側に落としてバイクにぶら下がるのかというと(コレも想像ですが)、限界までリーンしたバイクから更なる旋回力(=向心力)を引き出そうとしているようです。そのために腰を大きくずらし、足が短いので、結果としてステップから外足が外れてしまったと・・・・・。

「じゃあ足が外れないようステップを上げればいいじゃん?!」というのは尤もですが、マモラとしては内足の曲がりがキツクなるのを嫌ってか、カジバで走っていた頃でも(控え目になったとはいえ)、先の映像のように相変わらず時たまステップから外れてしまっていたようです。
私なんか「トップライダーはハンドルバーの垂れ角やステップ位置にミリ単位でこだわる」・・・・というイメージがあったりしますが、フレディーと同じくらいの天才だったマモラ(私はそう思っています)は「そんなこと」気にせず、バイクがどうでも乗りこなしてしまったのかもしれません。
マモラ自身、ゼッケンの数字を減らすことより、お客さんを楽しませることのほうを重要視していたようで、(ケニーに「真面目にやれ!」と怒られても)ランキングに頓着していなかったそうです。そういう所がファンが多かった理由でしょうね。


また、マモラが【外足外し】をするのはHONDA時代だけだったという説もあるようですが、上の映像にある通りCAGIVAでも、下映像の2’35”のようにYAMAHAでも外す時は外してますし、全てのコーナーで外しているわけではなく、使い所は選んでいるようです。
http://www.youtube.com/watch?v=GIOl2vYf_ks
 
しかしこの年のTBCでの平選手はすごかった。何が凄いって「まったく凄そうに見えない!」のが凄い(笑)。2スト500ccの加速はバイクを至る所でスライドさせているのに、ある程度以上滑る前に「前に進んでる」から大きく破綻しない。ブレーキングからリーニングも、サスの余計な上下動がまったく無いからウルトラ・スムース。まるで流しているように穏やかに見えるのに、ローソンに勝っちゃう・・・・・。このレースだけだったけど。

当時の私も実際に【マモラ乗り】をやってみたことがありますが、峠程度のエネルギーでは、そもそもあんなに大きく腰を落とす必要もなく・・・・・。
どのタイミングで足を外すかということに注意を払うあまり、コーナリングによる慣性力(=遠心力)とタイヤのグリップをバランスさせた『結果そうなった』では無く、よっこいしょと足を外すこと自体が目的の【無理マモラ乗り】になった』だけで、ましてやマモラのようにスムースに倒し込んだり、一瞬で右から左へ切り返すことなど試すことすら至難の業でした。

RIDING SPORT誌・No.028/1985年5月号そうしていくつかのバイク雑誌で【マモラ乗り】が紹介され、当時全日本を走っていた国際A級レーサーに『コーナリング中、外足に荷重してますか?』なんてインタビューをした雑誌もありました。
ライディング・スポーツ誌は、後に『ロッシの内足』の解説を特集するなど、こうした面にスポットを当てるのが好きなようです。内容が正しいかどうかはともかく、「問題提起」という意味では面白い特集でしたね。

このインタビューの内容をテキストに起こしてみたので、興味のある方はどうぞ→■足、どうしてます?■ 国際A急ライダー達の足

実はこの『コーナリング中、外足に荷重してますか?』質問には【重大な欠陥】が二つあるんですが、それは後述するとして、【マモラ乗り】写真を見た、とあるアメリカのレーシングスクール・インストラクターはこう言います

『コーナリング時の基本は外足荷重なのに!
 マモラは外足に荷重していないじゃないか!』

・・・・・と。
確かに、当時の「ライテク(=ライディング・テクニック)本」や「ライテク解説記事」では『コーナリング中は外足荷重が基本』というのが、自然の摂理の如く当たり前のことのように書かれています。

この【外足荷重】なる言葉を初めて『ライディング・テクニックの一つ』として使ったのがどこの誰かは知りませんが、この『ライテク用語』は一般のライダー達に瞬く間に浸透し、なぜか大いに歓迎されます。
ひょっとして、この言葉が【バイクライディングの極意っぽい】ものか、【バイクのテクニックを開眼させる魔法の呪文】に思えたのかもしれません。

その後、コーナリングテクニックを語る時に『コーナーでは外足荷重が基本!』『バイクの基本は外足荷重!』が慣用句のように語られ、ネットで検索すると『コーナリング中は外足荷重が基本ですよ!』という意見を多く見かけるなど、21世紀になった今でも(それでも数は減ったようですが)それを信じ続けている人は消えません。

はたしてこの時期突然生まれ、今も生き続ける【外足荷重】なるライテクのようなものは、本当に『コーナリング時の基本』なんでしょうか?
【マモラ乗り】は基本から外れた邪道な乗り方なんでしょうか?

私は【マモラ乗り】をマスターすることは出来ませんでしたがw、試してみた過程と結果を考え、【外足荷重】についていくつか分かったことがありました。
それをしたためてみるのもちょっと面白いかもしれないと思い、しばらくの間ダラダラと書いてみようと思います。

その前に一つ断っておくと、これは『ライディングテクニックとはこういうもんじゃ!』『テクはこう磨くのじゃ!』『コレがライディングの極意じゃ!』という解説じゃアリマセンので悪しからず。
話の流れでそれっぽいことを書いている部分もありますが、「そんなのもあるのね〜」「ヒマなこと考えてるね〜」くらいで軽く読み流して下さいませ。

追記 (2010.8.30)

ちなみに、現在(2010年)もこの【外足外し】をしているライダーが居ました。
D・ペドロサとA・ドヴィツィオーソです。(画像はHonda Motor Co., Ltd.:“http://www.honda.co.jp/WGP/race2010/rd11/”よりお借りしました)
マモラほど明確に外してはいませんが、どちらも外足の裏はステップに僅かに触れている程度ですね。ペドロサは本当にちびっ子なので、マモラと同じような理由で足が届かないのかもしれませんが、ドヴィツィオーソはイタリア人の平均身長程度だと思うんだけど・・・・・。他にも居るかもしれないけど、未確認す。
ダニ・ペドロサ アンドレア・ドヴィツィオーソ
両者ともマモラと同じく「ホンダ・ワークス・チーム」のライダーだという偶然が面白いですね。

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